再び昔のキャンプ記録。
なんと消えたと思っていた写真が発掘されたで追加しました(2020/8/2)

秋山郷に2つあるキャンプ場の一つ。
温泉の湯船から見る鳥甲山の眺望が素晴らしい。それだけでも泊まる価値がある。裏磐梯ママキャンプ場から見る磐梯山、あだたら高原野営場から見る安達太良山と並んで、私の今までの三大 山が雄大なキャンプ場。なおサイトからは見えない。

GWに予約せずに伺ったらなんと冬期休業の最終日で、水道と電灯だけ用意して泊めてくれた。なので普段の雰囲気とは少し違ったかもしれない。

のよさの里_001サイト
朝7時のサイト。テントはオートサイト張らせてもらった。と言うかオートサイトしかなかった気がする。

のよさの里_002サイト
変なアングルだな、何が撮りたかったのかよくわからん。
ともかくオートサイトなのでバイクの横付けが可能だ。

■ロケーション サイトは林間。温泉からの眺めは最高
長野県と新潟県に跨がる秘境 秋山郷の中ほどにある。秋山郷自体が奥深い山だ。
GWの途中から営業開始するようなので要注意だが、その時期、残雪の鳥甲山の雄姿は素晴らしい。

サイト自体は特筆すべきものはなかった気がする。宿泊棟の方が良さそうで羨ましかった記憶がある。

のよさの里_101湯船
湯船と鳥甲山。写真が小さすぎて全然伝わらねえ。


■ワイルドさ
冒頭に書いた通り営業開始日前にソロで泊めさせてもらったので、物悲しくなかなか野性味があった。最初から最後までソロってのが初めてだったせいもあるかもしれない。


■買い出し
忘れた。津南にちょっとしたスーパーがあったはずだ。たぶんそこに寄ったのであろう。


■記録
2008/5/2
GWのソロキャンプツーリング1泊目。
このキャンプは自分にとって初めてとなる、ソロキャンプをしようと思ってしたキャンプである。キャンプは2000年から初めていたし北海道もソロで回ったけど、ソロキャンプが目的で出掛けたのは初めて。
そして、ホラーなキャンプであった。

越後湯沢からR353で十二峠を越え、R117、R405とつないで秋山郷へ。奥志賀へ続く林道が冬季通行止めと分かりがっかり。明日はまた津南に戻らねばならんのかと思いながらキャンプ場へ。

到着したら、まだ冬季休業中とのこと。
えっ!
ええっ!

人は普通に居たので全く予想してない事態だった。温泉や宿泊棟の従業員だったのか。
ちょっとフリーズしてたら、水道と外灯だけならできるとの事。おお、ありがてえ!キャンプだからそれで十分だ。助かった。
めしは何を作ったか忘れた。この頃はバーナーとアルミコッヘルしか持ってなかったから大した調理はしていないはずだ。

夜。
この日は風が強く、木々がザワザワと揺れていた。

なんとなく心細い。

そう思い始めると落ち着かなくなってくる。外灯が一つ灯っているが、逆にゆらめく影がテントの中からも感じられ気になる。雨は降っていないけど木の葉や草の音が絶え間なく続く。一定の風のざわめきに混じって何か別の音が聞こえるような、いやそれも草木の音のはずだ。今夜は山がざわついている。

何時頃だったろうか。
トイレの気配で目を開けると、そこに何かいた。
テントの外、フライのちょうど入口部分に影が映っている。
何?!

驚いていると、影が薄くなった。と思うとまた濃くなった。
動いている!!

人の頭よりやや大きい影。インナーとフライ越しでぼんやりして輪郭は判らないが、ちょうどしゃがんで中を覗きこもうとしているような位置。
伺われている。
俺を?何が?

従業員か、それとも物盗りか?

変だ。
さっきから1分以上はゆらゆらしてるのに、頭の影しか見えない。手をテントに着ける事もない。
頭の影は濃いのに、首から下は見えない。
胴体はどこだ。頭だけってなんだ。

これは動物じゃない。
熊ならそれはそれでヤバいけど、頭だけで胴が無いってなんだ。

ああ何てこった。
なんでこんな所でこんなヤバいものに遭遇してしまうんだ。

トイレにも行けず、目を逸らすこともできず、外からテント内部を伺う揺れる影を見る。

近い。
テントの壁を隔てて影との距離は1mも無い。
いつまでこっちを見ているのか。去らないのか。ずっと居るのか。それとも。
恐怖。全身が強張る。

一段と強い風が来た。煽られたフライがインナーに押さえられて、もう中が見られてしまう!


ん?
何か輪郭が見えたような。


インナーにプリントされたコールマンのロゴマークだった。
なんだ。

なんだなんだ!全くもう!
一人で苦笑。こんなことで人生終わったと絶望してたのか。
やれやれ、落ち着きを失った人間ってのは予想以上にロクなもんじゃねえな。妖怪はこうやって産まれるのかと少し分かってしまったよ。
ふう、寝よ寝よ。
ああ良かった。


温泉は朝に入った。
残雪の鳥甲山が朝の日差しを受けてキラキラと聳える様は、実に雄大だ。いつか機会があればこの山に登りたい、そうして下山後にまたこの景色を眺めたいと思って目に焼き付けたものだ。


うむ、今日も走ろうではないか。
そんなキャンプであった。


当時の記録によると、温泉は翌日に松之山温泉にも入ったようだ。薬湯として名高い松之山温泉、浸かったのは初めて。なんかよくわからんがえらく濃厚な湯ってのは体が感じた。湯上がりに食ったアゴだしラーメンはまあまあだったけど、湯は大変満足だった。のよさの里の温泉は薄かったんよね。

前日だったか翌日だったか、秋山郷の最奥部、切明温泉まで行ってから戻った。栃川高原キャンプ場を見てなんだこっちの方が良さそうじゃねえかと思ったり、切明温泉の寂れっぷりにちょっと引いたり。秋山郷は、どこからどこまで秋山郷?ってほど長い谷だった。
津南は、雪国ということを春でも路側の広さから感じることができた。
龍ヶ窪池は、本州にしかもこんなマイナーなスポットにこんなに美しい池があったのか!と感動した。秋山郷へ行くならぜひセットで訪れるべきだ。


なお5年後、願望叶って鳥甲山に登る事ができた。その時泊まった栃川高原キャンプ場の記事で少し触れる予定。

のよさの里_401鳥甲山
翌朝。残雪の鳥甲山と秋山郷の道。

のよさの里_402津南町赤沢より苗場山方面
津南町の赤沢付近の丘の上、あまりの気持ちの良さに思わずバイクを止める。
振り返ると先ほどまでいた秋山郷方向に苗場山。

のよさの里_403津南町赤沢より野沢毛無山方面
この場所からは、伸び伸びと広い田畑の向こう三方に雄大な山並みを眺められる。
西方には野沢の毛無山方面。

のよさの里_404津南町赤沢より開田山脈天水山方面
北方は開田山脈。GWは雪を残した爽やかな山が眺められる気持ちの良い季節。


のよさの里_405龍ヶ窪池
龍ヶ窪池。写真で見ると藻が増殖した沼のようにしか見えんな、コンデジの限界か。実物は美しく神秘的な池だ。

のよさの里_406星峠の棚田
気のむくまま寄った星峠の棚田。当時は今ほど注目されておらず観光スポットでもなかったが、それでも田んぼ達の中をバイクで登っていくだけで、ここまで作り上げた努力というか根性を感じグッとくるものがあった。写真では伝わらないであろうと分かっていても、記録に残さずにはいられない。

のよさの里_407妙高
日も傾き始めた15時前。霞の向こうに妙高山が見えてきた。
さあ今夜はどこに泊まろう。



おわり